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「乃木坂46」という看板がコンプレックスだった。林瑠奈を支えた「何者でもない」時間

日本大学の入学式で、新入生へ向けて「すべての選択に意味があった」と語りかけた乃木坂46・林瑠奈。その言葉がこれほどまでに響くのは、彼女自身が「トップアイドル」と「一人の大学生」の間で激しく揺れ動いた4年間を過ごしてきたからだ。

かつて彼女は自身のブログで、大学生活について「自分が一番何者でもないと感じた」という衝撃的な葛藤を綴っている。周囲には将来の夢に向かって邁進する学生たちが溢れる中、すでに世間から「乃木坂46」という完成された看板を背負わされている自分。その看板が、時として彼女には重く、あるいは自分自身の中身を空っぽにさせるコンプレックスのように作用していたのかもしれない。

しかし、彼女は逃げなかった。多忙なグループ活動の傍らで、日藝(日本大学芸術学部)という表現者の猛者が集まる環境に身を置き、課題に追われ、一人の学生として悩み抜いた。その「何者でもない自分」と向き合った孤独な時間こそが、彼女に「アイドルの林瑠奈」ではない、一人の人間としての芯の強さを与えたのだ。

今回の武道館での祝辞は、そんな彼女が4年かけて見つけた答えの集大成と言える。「私たちの活動が少しでも皆さんの勇気に繋がっていたら嬉しい」――その言葉は、完璧なアイドルの台本ではなく、泥臭く悩み、学び、そして今日からアイドル一本で「リスタート」を切る一人の卒業生としての、真実の響きを持っていた。

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